断片化されないイメージ
「機能が強いる奴隷状態に陥らず、まだ破壊されずにすんでいる単純で力強い実存は、具体的にどのようにしていたから、これまでそのような実存として存在することが出来てきたのだろうか。それは、ひとえに、行動する、描写する、測るといった何らかの特殊な企てに従属するのをやめていたことによる。言い換えると、このような単純で力強い実存は、運命のイメージに依存しているということ」ジョルジュ・バタイユ
断片化された世界で、或いは、人間味を失った定形表現ばかりつくりだす学問の世界で、分裂しない「完全なる実存」は、「運命」という名のイメージを描き、それに身を委ねることなのだそうだ。現実の喧騒に取り込まれない「生」または「愛」は、そういったストーリーを夢のなかで作り出し、密かに想い続けるということ。
またそのようなイメージにおける亀裂、齟齬の幻影的な特徴を「揺れ動くロウソクの明かりのように妖しげだが、夜の闇が強く際立たせている」と書いている。ゆらぎがなければ、人生の物語も、作品も、深みは出ないだろう。
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