現代アートと表現の自由

 日本国憲法第十二条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」

 この記事は、紛れもなく「あいちトリエンナーレ2019」における「表現の不自由展・その後」と、補助金の不交付に関して述べるものである。
 周知の通り、「あいちトリエンナーレ2019」は8月1日〜開催されている国際芸術祭である。そのなかで行なわれていた「表現の不自由展・その後」は、言論の自由・表現の自由が蝕まれている社会をテーマとして、2015年、ギャラリー古藤(京都)にて「表現の不自由展」としてスタートした。それから5年が経ち、本展覧会が開かれたのである。あいちトリエンナーレ2019のステートメントにはこうある。「そして憂慮すべきなのは、自由を脅かされ、奪われた表現の尊厳です。」冒頭部で触れた憲法にもある通り、この憲法は原則として自由を国民に保証しているものなのである。


 また、今回、補助金の不交付を決定した萩生田文科相の意思決定プロセスも不透明であり、メディアは彼の発言ばかりにフォーカスし、肝心な文化庁長官は一体なにをやっているのかすら分からない。当時予定していた7800万円の補助金が降りないのが「表現の不自由展・その後」の影響だと単純に考えても、この展覧会は「あいちトリエンナーレ」のごく一部に過ぎない。よって、この事態は事実上の「国の検閲行為」と考えざるを得ない。そのことをここに強く抗議する。




2019年9月29日 グラフィックデザイナー/現代アーティスト/思想家

黒子裕太郎

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